J. M. G. Le Clézio ル・クレジオ

神話的な世界への志向を豊穣なイメージで描き出す特異な作家として知られています。ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ( Jean-Marie Gustave Le Clézio ) ( French: [ʒɑ~ maʁi ɡystav lə klezjo] )、略して J. M. G. Le Clézio はフランスの作家です。1940年4月13日に南仏ニースで生まれました。両親ともにフランスからインドのモーリシャス島に移住した家系で、父はフランス籍、母は英国籍なのでフランスとモーリシャスの二つの国籍を持っています。少年時代を従軍医師であった父親と共にナイジェリアに滞在したこともあります。貯金をして初めて買った本は『ランボー全集』だったそうです。生地のニース大学に進学した後、英国のブリストル大学に留学しました。1963年、23歳の時に処女作「Le Procès-Verbal」(邦題:調書)を発表し、同年のルノード賞を獲得しました。続く1965年の短編「La Fièvre」(邦題:発熱)、1966年の長編「Le Déluge」(邦題:大洪水)の三作で、神話的な象徴性を帯びた独自の世界観を確立しました。1966年からフランス語教授としてタイに、翌年からはメキシコに滞在し、1970年から74年までパナマの密林に住む先住民と暮らしながら執筆活動を行いました。1970年代後半からはメキシコの先住民文明に傾倒し、メキシコ各地の大学で客員教授を務めながら歴史を研究し、1988年「メキシコの夢」、1997年「歌の祭り」などの随筆集で西欧の現代文明に批判の目を向けました。2008年にはノーベル文学賞を受賞しました。その他の作品は長編小説として「愛する大地」(1967年)、「戦争」(1970年)、「巨人たち」(1973年)、「海を見たことがなかった少年 - モンドほか子供たちの物語」(1978年)、「砂漠」(1980年)、「黄金探求者」(1985年)、「さまよえる星」(1992年)、「ディエゴとフリーダ」(1993年)、「パワナ - くじらの失楽園」(1992年)、「アフリカのひと 父の肖像」(2004年)、長編随筆として「物質的恍惚」(1967年)、「悪魔祓い」(1971年)などがあります。2006年に39年振りに来日し、東京、北海道、奄美大島などを訪れました。
調書
新潮社
J.M.G. ル・クレジオ( J.M.G. Le Cl'ezio)[著]

ル・クレジオの処女作で1963年に出版され、同年のルノード賞を獲得。軍隊から来たのか、精神病院から来たのか、出所不明の男アダムの、病院へ収容されるまでの巡礼行を描いています。超映像的な文体で綴られた地獄巡り。

物質的恍惚 (岩波文庫)
岩波書店
ル・クレジオ[著]
豊崎光一[訳]
愛する大地―テラ・アマータ (1969年)
新潮社
ル・クレジオ[著]
豊崎光一[訳]
大洪水 (河出文庫)
河出書房新社
J M G ル・クレジオ[著]
望月芳郎[訳]
発熱 (1970年)
新潮社
ル・クレジオ[著]
高山鉄男[訳]